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#36 オフコラボはーじまーるよー

last update Last Updated: 2025-06-26 21:12:07
「おぉ〜!女子力!!」

「え?どういう感想?」

 あかねママが怪訝な表情をしているけど、気にしないことにする。ママは常識人キャラだからね。しょうがない。転生者とかいう常識の埒外にいる私と一緒にいるのだ。そんな顔になるのも仕方ないだろうし、実際コラボの時もよくそんな表情をしていた。

 皆も理解しているとは思うけど、私がいっつもよく分かんない行動をしているからあかねママに呆れられてるみたいな勘違いはしないように。いいね?

 あかねママのお家は白を基調とした清潔感のある部屋で要所要所でピンクが取り入れられている。小物も猫や羊といった可愛らしい動物の意匠が施されており非常に可愛い。

 あかねママことゆかりさんの圧倒的女子力に恐れおののいている裏でゆかりさんは更なる女子力を発揮しようとしていた。

「ねぇ由良ちゃん、ダージリンにお砂糖いる?」

「あ、お願いします。」

 お紅茶ですと!?しかもめっちゃ手馴れてるし。いやね、私も出来ないこともないんだよ?前世で一時期ハマってたから一応一通りできはする。なんて言えばいいのかなぁ〜立ち振る舞いから良いとこの御令嬢感が滲み出てるんだよね。育ちの良さが違いすぎて太刀打ちできない……。養殖ものの上品さと天然ものの上品さってこんな違うもんだね。

 そうこうしてる間に紅茶が出来たみたいだ。

「うんまっ!深みのある味わいで、上品ですね。」

 やっぱり私の養殖もののお上品さはダメみたいだ。ふとした瞬間に素が出てしまう。それを当然として習慣の中で身に付いた本物には敵わない。需要があるかはともかく披露する機会があるかもしれないし見習おう。格付けチェック的なサムシングがあるかもしれないし、こういう教養はあって損をする類のものでもないからね。

「無理しなくていいんだよ?」

 失礼な!

「無理してないやい!」

 ほんとだもん!私無理してないもん!あかねママのお上品さに対抗して意識的にお上品にしようとか思ってないもん!私の内なるお嬢様オーラだもん!

「馬鹿なことしてないでそろそろ配信の準備しよっか。」

「そうだね。」

「配信部屋はこっちだから着いてきて〜!」

「はーい!」

 着いていった先であかねママが重厚そうな扉を静かに開ける。そこには見るからに高価そうな機材が並んでいた。

結城 木綿希

オフコラボ回が始まると言ったな?あれは嘘だァ!

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  • 憧れに手を伸ばせ   #40 照れまくる

    「お、帰ってきたっぽいから私出てくるね。あ、お兄さんもお出迎えする?お姉ちゃんとおかえりなさいのキスとかしたい?それなら一応見ないように目は瞑っておくから恥ずかしくて見られたくないなら予め教えてくれるとこっちも配慮できるからね!」「配慮できるからね!じゃないんだよバカ妹!お兄はこんなバカの言うことなんて気にしなくていいからね!なんなら今すぐ忘れてもいいだよ?こう……頭を私の膝でガンってやって忘れさせてあげようか?」「ちょいちょいちょーい!」「YURAちゃんどうしたの?」「恥ずかしいからってすぐネタに走るんじゃーないよぉ!」――急に流れ変わったよね――可愛らしい姉妹喧嘩のはずが急に物騒な話に……――あかねちゃん、今のはちょっと怖いよ――ちょっと照れちゃって〜っていじれるラインを越えてて草――こういうのするのYURAちゃんだと思ってた――それな――まさかあかねちゃんがそのポジに収まるとはね「あんなよくわかんないの挟んだあとじゃいまいちボイスに集中できないだろうけど、そこはもうそういうもんだと諦めてね。じゃあちょい前から続きいくよ!ゴホンッ……お姉ちゃん恥ずかしがってるみたいだから代わりに私がお兄さんの相手してあげるね!どうする?膝枕とかしちゃう?耳かきとかする?」「ふーん?年下の女の子に膝枕とかされちゃうんだ?ふふっ、素直でよろしい!まぁちょっぴり情けない気もするけどね。ほれほれ〜お姉ちゃんはこのままでいいのかなぁー?だーい好きなお兄さんが妹の私に盗られちゃうよ〜?」「べ、別に好きとかじゃないけど……。ちょ、ちょっと待って!一旦休憩!一旦休憩ちょうだい!の、喉が渇いちゃって。」「こんなこと言いたくないんだけどさぁ。あかねママ、今ライブなのよ。恥ずかしいからって止めないでやらなきゃなんだよ?わかる?」――そうだそうだー!――ライブでやってるのにそんなにすぐ止めてちゃ話に集中できないだろー!――素で照れとるやんけwww――YURAちゃんにそんなこと言わせるなー!――俺らは照れてるあかねちゃんを見たいんだー!止めずに照れてるところを見せろー!「素で照れちゃってるあかねママガチ可愛いんだけども。」「や、やめろー!」

  • 憧れに手を伸ばせ   #39.5 祖父の意思

    「ゴホッゴホッゴホッ……ふぅ。歳はとりたくないもんだな。」 誤魔化しながらこれまで過ごしてきた。自分の身体の丈夫さには自信があったし、今由良の前で弱っているところを見せてしまえばあの子の心の傷をえぐることになるかもしれない以上病気の可能性を彼女に示すわけにはいかなかった。「敏夫さん、大丈夫ですか?ここ最近やけに咳が多いですけど……。念の為に病院で検査してもらった方がいいんじゃないですか?私たちも歳ですし。」「なーにただの風邪だ。どうってことはないさ。歳だからかちと治りが遅くなってるだけだよ。少しの間休んでいれば治るから心配せんでいい。」 ただの風邪じゃないのはわかっている。呼吸の度に胸が痛むし、咳もなかなか治らない。俺ももう歳だ。良くて肺炎だろう。最悪の場合……███だろう。「そんなこと言って何か重い病気だったらどうするんですか!。もしなにかの病気ならすぐに治療しないと手遅れになるかもしれない。そしたらあの子を……由良を残して死ぬことになるんですよ!ほんとにそれでいいんですか!?」 もちろんそんなことをするつもりはない。ただ怖いんだ。あの子の成長を見守ることはもうできないと宣告されることが。あの子のことを傷付けることが。「それは……だなぁ。」 無理だった。死ぬもしれない。もしかしたら明日にでも体調が悪くなって倒れるかもしれない。病院に行っても本格的な治療を行えるほどの力は今の俺には残っていない。「見損ないました。あなたが死んだらあの子はまた大切な家族を亡くすことになる。そしたらあの子はまた心に傷を負う。あんなに幼い子に二度も……。」 それなら俺は最期まで……命が燃え尽きるその瞬間まで……「あの子の心の傷が癒えることはないかもしれない。あの子はもう立ち直れないかもしれない。それなのに敏夫さんは!そんな自分のプライドやら変な自信を優先して本当に大事なものを見失った敏夫さんなんてもう知りません。もう好きにしたらいいんじゃないですか?」 あの子の隣にいたい。

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